近年、省エネ性や安全性の高さから、給湯器を設置したり交換したりする際に「エコキュート」を選ぶ人が増えています。しかし、エコキュートについて、詳しい仕組みは分からないという人も多いでしょう。本記事ではエコキュートについて、仕組みやガス給湯器との違い、メリットやデメリットを解説します。

この記事を読むための時間：3分

エコキュートとは？

エコキュートとは、正式名称が「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」という給湯システムのことです。ヒートポンプ技術とは、気体を圧縮すると温度が上がり、逆に膨張させると温度が下がる性質を利用して、フロンガスや二酸化炭素などの冷媒で大気中の熱を汲み上げ、その熱を水に伝えてお湯を沸かす技術です。少ない電気エネルギーで、ガス給湯器よりもコストをかけずにお湯を沸かせるため、近年人気を集めています。

エコキュートとガス給湯器の違い

エコキュートとガス給湯器の違いは、燃料と仕組み、環境への影響です。エコキュートは空気中の熱を原料として、少ない電力でお湯を沸かし、タンクに貯めて使用します。一方ガス給湯器は、ガスを使って配管に熱を持たせて、その中を通る水を温めてお湯を作る仕組みです。そのため、タンクに溜まった分しかお湯が使えないエコキュートに対して、ガス給湯器はいつでも必要な分だけお湯を使うことができます。

しかし、ガス給湯器は燃料であるガス代と給湯器を稼働させる電気代が必要であり、コストがかかりがちです。また、運転中は給湯器から高温の排気があるため、環境にも優しいとは言えません。これらがエコキュートとガス給湯器の違いです。

エコキュートのメリット

エコキュートのメリットには以下の4つが挙げられます。

• 光熱費を抑えられる
• 地球環境にやさしい
• 災害時でも湯が使える
• 補助金を得られる場合がある

光熱費を抑えられる

エコキュートはガスよりも割安な夜間電力を使用してお湯を沸かします。その光熱費はガス給湯器の5分の1と言われており、月々の光熱費を抑えることができます。

地球環境にやさしい

ガス給湯器で使われるガスの原料である天然ガスは、量に限りがあり新しく人の手で作り出すことができません。一方、エコキュートは再生可能なエネルギーである大気中の熱を原料としており、地球環境に配慮したシステムと言えます。

災害時でも湯が使える

災害時には電気や水道などのライフラインが止まってしまうことがありますが、エコキュートは貯水タンクにお湯が貯まっていれば、非常用の水栓からお湯や水を取り出すことができます。

補助金を得られる場合がある

経済産業省は、2022年度の補正予算案において、温室効果ガスの削減を目的に「給湯省エネ事業」と呼ばれる補助金制度の開始を決定しました。これにより、エコキュートを購入する際に補助金が交付される場合があります。補助金の金額や交付される条件は自治体によって異なるため、購入前に各自治体に問い合わせるなどして確認しておきましょう。

エコキュートのデメリット

エコキュートは多くのメリットがある一方、デメリットもあります。導入を検討しているのであれば、以下のデメリットもチェックしておきましょう。

初期費用が高額になりがち

ガス給湯器の設置費用は20万円程度ですが、エコキュートは40～70万円程度で、初期費用が高いことがデメリットとして挙げられます。しかし、月々のランニングコストはエコキュートの方が安いため、長い目で見ればエコキュートがお得と言えるでしょう。

設置にはスペースが要る

エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯タンクで構成されており、それぞれを平置きしなければならないため、設置の際はやや広めのスペースが必要です。狭いスペースに無理に置くと、メンテナンスができなくなったり、通路が塞がってしまったりするため、エコキュートを導入する場合は余裕を持ったスペースに設置するようにしましょう。

お湯切れの不安がある

エコキュートは作ったお湯をタンクに貯めて使用しますが、急な来客や家族の帰省などで大量のお湯を使うとタンクの中のお湯がなくなりお湯切れを起こすことがあります。お湯切れの不安がある場合は、昼間に沸き増しをしてタンクが空にならないように注意しましょう。

運転音が気になる場合がある

エコキュートは基本的に夜間にお湯を作ります。この時、40デシベル程度の低周波の運転音が発生します。40デシベルの音の大きさは昼間の静かな住宅地、図書館程度と言われており、大きな音ではありませんが、エコキュートが近隣の寝室に近い場合はクレームにつながる場合があるので注意しましょう。

エコキュートは地球にも家計にもやさしい給湯機

エコキュートは大気と少しの電力でお湯を沸かすことができるため、環境にも家計にもやさしい給湯機です。また、災害時にタンク内のお湯や水を使えるメリットもあるので、万が一に備えて設置を検討してみてはいかがでしょうか。